リチウムイオン二次電池は、負極に主に黒鉛材料を用いており、スマートフォン、ノートパソコン、ウェアラブルカメラなどの情報通信機器の蓄電システムとしてすでに実用化されています。一方、負極に金属リチウムを用いる金属リチウム二次電池は、リチウムイオン二次電池よりも重量当たりで約10倍、体積当たりでも数倍の電気を蓄えられますが、実用化には至っていません。その理由として、リチウムイオンから金属リチウムに還元される際、デンドライト(樹脂状結晶)状の金属リチウムが析出するためです。デンドライトが生じると、電池内部が短絡して、電池機能の喪失や発火を引き起こします。
当社は、水系のめっき技術のノウハウを活かし、非水系においてもリチウムデンドライトを抑制する添加剤を開発しました。
当社が開発したリチウムデンドライトの析出を抑制する電解液は、リチウム塩、非水溶媒、および添加剤から構成されています。添加剤は、電析するリチウムの結晶の成長点に吸着し、結晶粒の粗大成長を防ぎ、デンドライト状の析出を抑制します。
当技術は、充放電特性の向上、充放電サイクルの延長を可能にするため、金属リチウム二次電池の実用化に貢献する技術として期待されています。
また、従来リチウムは押出や圧延などの方法によって製造されていました。この表面処理剤を用いることで、任意の膜厚で平滑な電析膜を形成することができますので、新用途への展開を検討しています。